子どもの歯並びは、生まれつきの要因だけでなく、日常の癖や習慣によって大きく影響を受けます。
特に、指しゃぶりや口呼吸などの行動が長く続くと、歯の並びや噛み合わせに影響が出ることがあります。
これらの習慣がどのように歯並びに関係し、どんな症状を引き起こすのかを詳しく解説します。
目次
■子どもの歯並びを悪くする主な癖・習慣
◎指しゃぶり
幼児期の指しゃぶりは比較的自然な行動ですが、長く続くと歯並びに影響が出ることがあります。
特に4歳以降も続けていると、上の前歯が前方に突出する上顎前突(出っ歯)や、奥歯を噛み合わせても前歯に隙間ができる開咬につながる可能性があります。
◎口呼吸
鼻ではなく口で呼吸をする癖がついてしまうと、口の周りの筋肉が正しく発達せず、歯並びに影響を及ぼします。
口呼吸の習慣があると口が閉じず、頬や口唇から圧力を受けられないため、歯列弓(歯並びを上から見た時のアーチ型)が広がりやすくなります。
また、唾液には歯と歯の間の食べかすや汚れを洗い流す自浄作用がありますが、口を開けている時間が長いと口腔内が乾燥しやすくなり、むし歯や歯周病のリスクも高まります。
◎舌癖
舌で歯を押したり、舌を前に突き出したりする癖は舌癖と呼ばれ、歯並びや噛み合わせに影響することがあります。
この癖があると、前歯が前方に押し出され開咬や上顎前突、下顎前突を引き起こす原因となります。
◎頬杖をつく
頬杖をつく癖があると、片側の顎に継続的な圧力がかかり、歯列が歪む原因になります。
片側だけに負荷がかかるこの習慣が続くと、交叉咬合(こうさこうごう:上の歯と下の歯が嚙み合わず、上の歯が下の歯の内側にくる歯並び)という異常につながることもあります。
◎片側だけで噛む
食事の際に片側の歯ばかりで噛む習慣があると、顎の筋肉が片側だけ発達し、顔の歪みを引き起こす原因になります。
さらに、噛み合わせが不均衡になり、一方の歯に過剰な負担がかかることで、歯の摩耗や顎関節症のリスクが高まります。
◎うつぶせ寝や横向き寝
寝る時の姿勢も歯並びに影響します。
特にうつぶせ寝や片側に偏った横向き寝を続けていると、顔や顎に偏った圧力がかかり、歯列が歪む原因となります。
また、成長期の子どもの場合、寝る姿勢によって顎の発達に影響が出て、噛み合わせが乱れることもあります。
■これらの癖・習慣が引き起こす主な症状
◎上顎前突(出っ歯)
上の前歯が前方に突出した状態を指します。
指しゃぶりや舌癖、口呼吸などが主な原因となり、前歯で食べ物を噛み切るのが難しくなります。
◎開咬(かいこう)
奥歯を噛み合わせたときに、上下の前歯の間に隙間ができる状態です。
指しゃぶりや舌癖、口呼吸が原因となることが多く、前歯で食べ物をうまく噛めないため、食事がしにくくなります。
また、発音にも影響がでることがあります。
◎叢生(そうせい)
歯が重なり合って生えている状態です。
顎の発育不足や片側噛みなどのアンバランスな力が主な原因となります。
歯が重なりによって歯ブラシが隅々まで届きにくいため、歯磨きが難しく、むし歯や歯周病のリスクが高まります。
◎交叉咬合(こうさこうごう)
上下の歯を噛み合わせた時、正常な噛み合わせは、上の歯が少しかぶっている状態となります。
交差咬合は一部の歯が上下逆に噛み合っている状態のことを指します。
頬杖や片側だけで噛む習慣などが原因となることが多いです。
【子どもの癖には早めの対応が必要なこともある】
子どもの歯並びを悪くする原因には、指しゃぶりや口呼吸、舌癖、頬杖など、日常のさまざまな習慣が関係しています。
これらの癖が長く続くと、出っ歯や開咬、叢生などの歯並びを引き起こし、将来的に矯正治療が必要になることもあります。
成長とともに自然に治ると考えるのではなく、早めに適切な対応を取ることが大切です。
歯並びが悪い原因と悪影響についてはこちらの記事をご確認ください。