
矯正は子どものうちにするものというイメージを持つ方も多いですが、近年は大人になってから矯正治療を始める人も増えています。
大人になってからの矯正は、見た目の改善が主な目的と考えられがちですが、噛み合わせや口の健康のために行われることも多いです。
では、大人でも矯正した方がいいケースにはどのようなものがあるのでしょうか。
ここでは、歯並びを放置するリスクと、矯正を始めるべきタイミングについて詳しく解説します。
目次
■悪い歯並びがもたらす影響
◎むし歯、歯周病になりやすい
歯が重なっていたり、ねじれていたりする歯並びは、歯ブラシの毛先が届きにくくなります。すると、歯垢(プラーク)や歯石がたまりやすくなり、むし歯や歯周病の原因になります。
歯並びを整えることで清掃性が上がり、お口の清潔に保ちやすくなります。
◎あごへの負担
上下の歯の噛み合わせがずれていると、食べる時に一部の歯やあごに過剰な力がかかってしまうことがあります。
その結果、顎関節症を起こしたり、肩こり、頭痛などの不調につながることもあります。
また、咀嚼のバランスが悪いと、食べ物を細かくすり潰せず、消化に負担をかけることもあります。
◎発音への影響
歯並びが乱れていると、発音に必要な空気が漏れてしまうことがあり、サ行やタ行などの発音が不明瞭になることがあります。
◎口呼吸、睡眠の質の低下
歯並びの乱れにより唇が閉じにくいと、口呼吸になりやすくなります。
口呼吸は口の乾燥を招き、細菌の繁殖による口臭、歯周病、風邪の原因にもなります。
また、寝る時に気道が狭くなることでいびきや睡眠時無呼吸を引き起こすこともあります。
■大人でも矯正した方がいい方とは
◎ガタつきがある方
見た目の問題だけでなく、歯が重なっていると汚れが溜まりやすく、歯肉の炎症やむし歯を起こしやすくなります。
◎すきっ歯が気になる方
すきっ歯の場合は息漏れや発音のしづらさにつながることもあります。また笑うと見えてしまうというコンプレックスが精神的な負担につながることもあります。
◎噛み合わせが合わず、歯が欠けたりすり減ったりしている方
噛み合わせのズレによって一部の歯に負担が集中すると、歯の摩耗や欠けが進行します。
そのまま放置すると、歯の神経にまでダメージが及び、将来的に抜歯が必要になってしまうケースもあります。
歯を失うと、インプラントや被せ物治療が必要になることもあります。
矯正治療で噛み合わせを整えることで、歯の寿命を延ばすことにもつながるのです。
◎顎の痛みや違和感がある方
顎の関節からカクッという音がしたり、口が開けにくい、口を開けると痛みがある場合は、噛み合わせのバランスが関係しているかもしれません。
歯並びを整えることで、顎への負担が減り、症状の改善が期待できます。
■大人の矯正はもう遅い?
◎年齢に関係なく始められる
「もう大人だから矯正は遅い」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、歯と骨が健康であれば年齢に関係なく矯正治療は可能です。
最近では透明なマウスピースを使ったマウスピース矯正や目立ちにくいワイヤー装置もあり、人と接する仕事の方でも治療が続けやすくなっています。
※歯科医院によって目立ちにくいワイヤーや
ブラケットを取り扱っていない場合もあります。
◎矯正の目的は見た目だけではない
大人の矯正では、見た目を改善する審美面よりも、噛む機能面を重視するケースが多いです。噛み合わせを整えることで、歯の寿命を延ばし、将来的な歯周病、顎関節症の予防にもつながります。
【大人になってからでも治せる歯並び、放置しないで】
悪い歯並びをそのままにしておくと、見た目の問題だけでなく、むし歯、歯周病、顎関節症などお口の健康全体に影響がでることもあります。
大人になってからでも矯正治療は十分に可能であり、今後の歯を守るための有効な手段です。
「見た目のため」「噛み合わせを改善したい」など、目的はさまざまでも、矯正を始めることで得られるメリットはたくさんあります。気になる症状がある方は、まずは歯科医院で相談し、自分に合った治療法を見つけてみてください。










