大人になってからでも矯正治療は十分に可能です。見た目の改善はもちろん、噛み合わせや歯の健康にも良い影響があることから、近年では多くの方が成人後でも矯正治療を検討している傾向があります。
ここでは、大人の矯正治療の流れや治療期間の目安、むし歯や歯周病がある場合の対応について詳しく解説します。
目次
■治療の流れ
◎1:初診相談でお悩みを確認
まずは初診相談を行い、現在の歯並びや噛み合わせ、気になる点や治療に対する希望などをヒアリングします。
矯正治療に対して不安に感じていることがあれば、この時点で相談しておきましょう。
この段階で治療が可能かどうか、またどのような治療方法が適しているかといったおおよその治療方針や方向性が提示されます。
◎2:精密検査
初診後には、治療に必要な詳細な情報を得るための精密検査を行います。
レントゲン撮影、口腔内スキャン、顔貌・口腔内の写真撮影、歯型の採得などを行い、歯の位置や傾き、骨格的なズレ、噛み合わせの状態を正確に分析します。
大人の場合、過去の治療歴や被せ物、ブリッジ・インプラントの有無、歯周組織の状態も考慮しながら診断する必要があるため、子どもの矯正とは異なる注意点があります。
◎3:治療計画の説明
検査結果をもとに、一人ひとりに合わせた治療計画が立てられます。
使用する装置の種類、治療期間の目安、費用、抜歯の必要性、治療に伴う注意点などが詳しく説明されます。
治療のメリットだけでなく、リスクや治療中の生活への影響などについても説明を受け、ご納得いただいた上で治療を進めていきます。
◎4:むし歯、歯周病の治療が必要な場合は先に処置
矯正治療の前に、むし歯や歯周病、詰め物・被せ物の不具合などがある場合は、先にその治療を行います。
特に歯周病は、矯正中に悪化すると歯を支える骨が減少し、歯が動かせなくなったり、矯正後に歯がグラついたりするリスクがあるため注意が必要です。
大人の矯正では、矯正そのものだけでなく、口腔全体の健康管理が治療成功の鍵となります。
■矯正装置の装着と調整の進み方
◎装着時は少しずつ体になじませる
実際に矯正装置を装着したら、まずは装置に慣れる期間が必要です。
最初の数日は違和感や軽い痛みがあることもありますが、徐々に慣れていきます。
◎定期的な調整やマウスピースの交換
ブラケット矯正の場合は月に1回程度、歯科医院で調整を行います。
マウスピース矯正の場合は、2週間ごとに新しいマウスピースに交換しながら歯を動かしていき、約6週間に1回のペースで通院します。
■保定期間も大切なステップ
◎矯正が終わっても歯は動きやすい
矯正が終わり装置を外しても、歯はまだ不安定な状態で、元の位置に戻ろうとする「後戻り」の力が働きます。そこで必要なのが保定期間です。
保定装置を使って歯並びを安定させ、後戻りを防ぎます。この期間をしっかり確保することで、きれいな歯並びを長持ちさせることができます。
保定期間は通常、矯正にかかった期間と同程度かかるといわれていますが、後戻りのリスクが高い場合にはより長期間の保定が必要になることもあります。
リテーナー(保定装置)の使用状況や、定期的なチェックも大切です。
■治療期間の目安はどれくらい?
◎大人の矯正は1年半〜3年程度が一般的
歯並びの状態や使用する装置によって異なりますが、一般的なブラケット矯正やマウスピース矯正では、1年半~3年程度かかるのが平均的です。
前歯の部分矯正など、軽度の症例であれば半年〜1年程度で終了する場合もありますが、骨格的な問題を含む複雑なケースでは、3年以上かかることもあります。
また、矯正中にむし歯や歯周病の治療が必要になった場合は、治療期間が延びることもあるため、治療計画は余裕を持って立てることが大切です。
【安心して治療を始めるために】
大人の矯正治療は、計画的に進めることで満足のいく結果が得られます。
初診相談から保定までの流れをしっかり把握し、むし歯や歯周病がある場合には事前に適切な処置を行う必要があります。
気になる点があれば、まずは歯科医院で相談してみましょう。
より詳しい治療期間の目安については、以下の記事でも解説しています。