インビザラインはとても目立ちにくい矯正方法です。
またワイヤー矯正より痛みが出にくいとされていて、矯正治療を一般に広げる大きな役割を果たしました。
しかしどのような治療法でもメリットがあればデメリットがあります。
インビザラインでも、起こり得るトラブルや注意するべきリスクがあります。
目次
■インビザラインの注意すべき特徴
◎ワイヤー矯正と変わらず、骨の増生が大切
インビザラインでもワイヤー矯正でも、歯の位置を動かすためには歯に力をかけ、歯槽骨の吸収と増生を起こす必要があります。
力がかかった方の歯槽骨は吸収を始め、引っ張られた方は増生を始めるため、これにより歯が動く仕組みです。
◎患者さまご自身で着脱
ワイヤー矯正とインビザラインの異なる点は、ご自身で着脱が可能かどうかです。
歯にブラケットが接着剤でくっついているワイヤー矯正と違い、インビザラインは患者さまご自身で着脱していただけます。
◎装着時間が決められている
インビザラインは1日20~22時間の装着が必要とされています。
食事時と、その後歯磨きをする時だけ外す計算です。
お仕事中や就寝中も装着が必要です。
◎マウスピースは一括で作製される
インビザラインは歯がどのように動くかシミュレーターで計算した後、一括で全てのマウスピースを作製します。
このマウスピースは1つずつ違う形をしており、これを付け替えることで歯を動かす仕組みです。
症状が軽度なほど必要なマウスピースの量は少なく、重度なほど必要な量は多くなります。
◎適応症例はワイヤー矯正の方が多い場合も
インビザラインにはさまざまなラインナップがあり、適応症例も豊富ですが、その歯の動かし方の特性から、重度なものや強い捻転を伴うものなどはワイヤー矯正の適応となります。
全体的な適応症例はワイヤー矯正の方が多いといえます。
■インビザラインで起こるトラブルやリスク
◎時間を守らないとシミュレーション通りに動かない
インビザラインのシミュレーションは1日20~22時間の装着を想定して作られています。
そのため装着時間を守らないとシミュレーション通りに動かないリスクがあります。
◎1度シミュレーションからずれると作り直しの可能性
マウスピースのつけ忘れなどで歯の動きが大きくシミュレーションから外れてしまうと、マウスピースを作り直す必要が生じる可能性もあります。
◎痛み、違和感が出るケースがある
インビザラインはワイヤー矯正と違い、1度に歯を動かす量が少なめです。
歯根膜の間0.25mm程度の幅を少しずつ動かすため、ワイヤー矯正に比べて痛みや違和感が出にくいという特徴があります。
しかし歯を動かすことに変わりはないため、痛みや違和感が出るケースもあることを覚えておきましょう。
■インビザラインを選択する前に気をつけること
◎適応症例かどうか?
インビザラインを選択する前に、ご自分の口腔内の状態が適応症例かどうかを知っておくことが大切です。
無理にインビザラインを選択してしまうと歯並びがきれいに治らないことがあります。
◎自己管理が可能か?
装置の取り外しが可能のため、つけ外し、保管など自己管理ができるかどうかは治療の成果に大きく関わります。
もしお子さまがインビザライン治療をする場合は、保護者さまが気をつけて管理するなどの注意が必要です。
◎歯槽骨の増生が正常に起こるか?
インビザラインに限らず歯槽骨の吸収と増生を促して歯を動かす矯正治療は、歯周病が完治してから治療を行う必要があります。
歯周病があるままで治療をしてしまうと歯周病の悪化につながります。
また骨粗鬆症など骨の密度に関係する疾患がある方も、骨の増生が起こりにくいことがあるため注意が必要です。
◎インプラントは入っていないか?
インプラントは歯槽骨と直接結合しているため、その場から動くことがありません。
多数歯のインプラントが入っている方は矯正治療を受けられないこともあるため注意が必要です
【トラブルのないインビザライン治療を】
メリットの多いインビザラインですが、起こり得るトラブルやリスクやデメリットについてよく知り、治療を選択するようにしましょう。