インビザラインなどの海外の矯正メーカーの登場により、矯正装置を作る際に必要な石膏模型の輸送にとても時間がかかるようになりました。
そのため各種メーカーが、模型を作ることで行なっていたお口の中の状態の把握を光を使ってデータ化し、作製先に送れるようにと「光学印象」というシステムを開発しました。
この光学印象とはのどのようなもので、どのような利点があるのでしょうか。
目次
■光を使ってお口の中を3D化
iteroの仕組み
光学印象とは、お口の中にレーザー光などの光を当て、返ってきた光の形によってお口の中を3Dデータに変換する印象(型どり)の方法です。
このシステムは、この矯正装置の作製だけに使えるのではありません。
歯科医院内に導入すれば、その他かみ合わせの把握や、補綴物の作製時などにも利用できる画期的な機器です。
iteroを使った矯正治療の流れ
・ スキャニング装置を使い歯列をスキャンします。
・ 得たデータを歯科医師が確認します。
・ スキャンデータとその方の処方箋を、マウスピース作製先へオンラインで送付します。
・ マウスピースが届きます。
・治療を開始します。
■iteroのメリット
スキャナによる患者様のメリット
iteroはスキャニング装置を使って、お口の中の状態をスキャンします。
このスキャニング装置によるメリットがとても大きいのが特徴です。
まずスキャニング装置は従来の印象材と比べ小さく、喉の奥に流れ込む可能性もないため患者様の嘔吐反射を引き起こしません。
スキャンにかかる時間は5分から10分ほどです。
その間口を開いていただくだけで、正確なデータを読み取れます。
少し長い時間に感じるかもしれませんが、従来の印象材のように味がしたり、固定したりなどという必要がありません。
精度についてのメリット
従来の印象材を上手く使うためには、水の温度や混ぜるタイミングなどをシビアに測らなければなりませんでした。
そのため技術が熟練した人ほど良い印象を取れるという特徴がありました。
しかしスキャナによる光学印象では、手順をきちんと踏めば技術などに関係なく誰でも精度の高い印象を取ることができます。
環境に対するメリット
矯正装置などを作製する時は、印象材というもので歯の型をとり、そこに石膏を流し込むことで口腔内の状態を立体的に把握していました。
そのため石膏模型は患者様の治療中はもちろん、その時ご来院されてない方でも大事なデータだとなれば保管しておかなくてはなりませんでした。
そのため歯科医院には石膏模型を並べる棚があり、そこはいつも大体目いっぱいな状態です。
患者様の口腔内の模型がコンピューター内でやり取りできることにより、この石膏を保管するスペースが減り、省スペースになります。
まだこの歯科の石膏模型は、医療廃棄物として廃棄しなくてはなりませんでしたが、これもデータ化によりなくなるため、環境にとても優しいのもメリットです。
輸送に対するメリット
石膏模型はとても割れやすいことから、輸送には緩衝材を使うなど大変気を使わなくてはなりませんでした。
しかし、データを送った後矯正装置が届く郵送期間の手間はあるものの、歯科医院側から模型を送るという手間は省けるため、大変時間の短縮になります。
【iteroのメリットはたくさん】
インビザラインなど海外メーカーの矯正装置の普及と共に、それをよりよく生かすための光学印象機器が登場しました。
iteroは患者様や歯科医院に多くのメリットをもたらします。
まだまだ導入している歯科医院が少ないのが実情ですが、この画期的なシステムは今後さらに広がりを見せ、より良い歯科医療 の一端を担ってくれるのではないでしょうか。