矯正治療中、歯の表面に装着しているブラケットが外れたり取れたりしてしまうことがあります。
ブラケットはワイヤーを固定して歯を少しずつ動かすために欠かせない装置ですが、食事や歯磨きの際の力、または接着剤の劣化などが原因で外れてしまうことがあります。
放置してしまうと、治療の進行が遅れたり歯が予定外の方向に動いたりすることもあるため、正しい対処が必要です。
ここでは、矯正中にブラケットが外れたときの原因と応急処置、歯科医院を受診する際のポイントについて詳しく解説します。
目次
■矯正中にブラケットが外れる原因とは
◎食事中の強い力が加わった場合
ブラケットが外れる原因の多くは、食事の際に強い力が加わることです。
特に、硬すぎる食べ物や粘着性のある食べ物は注意が必要です。
これらの食品を噛むと、ブラケットが歯の表面から取れてしまうことがあります。
◎歯みがきやフロスによるもの
歯みがきの際に強くブラッシングしたり、フロスや歯間ブラシを無理に通そうとしたりすることで、ブラケットに負荷がかかる場合もあります。
特に奥歯は手が届きにくく、知らないうちに装置に力が加わって外れてしまうことがあります。
◎接着剤の劣化
ブラケットは専用の接着剤で歯に固定されていますが、唾液や温度変化の影響を長期間受けることで、接着力が弱まることがあります。
また、矯正治療の経過中に歯の動きや形が変わることで、ブラケットにずれが生じることもあります。
■ブラケットが外れたときの正しい対処法
◎無理に戻そうとしない
外れたブラケットを自分で歯に戻したり、貼り付けたりするのは避けましょう。
位置がずれると、ワイヤーの力のかかり方が変わり、歯が正しい方向に動かなくなるおそれがあります。
また、無理に押し込むとワイヤーや歯を傷つけることもあるため、自己判断での修復はやめましょう。
◎ワイヤーが飛び出している場合の応急処置
ブラケットが取れると、ワイヤーの一部が浮き上がって口の中に当たることがあります。
その際は、柔らかいワックスを飛び出た部分に付けてカバーしましょう。
◎外れたブラケットは保管しておく
完全に外れてしまったブラケットは、紛失しないようにティッシュや小袋に包んで保管しておきましょう。
ブラケットの状態によっては再利用できることもあります。歯科医院に持参すれば、再接着や新しいものへの交換がスムーズに行えます。
■ブラケットが取れた! 放置するとどうなる?
◎歯の動きにズレが生じる
ブラケットが取れた状態では、ワイヤーが本来の位置で歯を引っ張れなくなり、適切な強制力がかからない場合があります。
そのまま放置すると、矯正計画通りに歯が動かず、治療期間が延びたり、噛み合わせにズレが生じたりする可能性があります。
◎装置が口腔内を傷つけることも
外れたブラケットやワイヤーの端が口の粘膜や歯ぐきに当たり、痛みや炎症を起こすこともあります。早めに歯科医院へ連絡し、適切な処置を受けることでトラブルを防ぐことができます。
■歯科医院を受診する際のポイント
◎まずは電話で状況を伝える
ブラケットが外れた、取れたなどのトラブルが起きた場合は、すぐに矯正を行っている歯科医院へ連絡しましょう。
外れた位置や、痛みの有無、ワイヤーが当たっているかどうかを伝えると、応急処置の案内や予約調整がスムーズです。
◎次の通院日まで我慢しない
放置せず、できるだけ早く再診を受けることが大切です。
ブラケットの外れは時間が経つほど歯の動きに影響しやすく、治療計画の修正が必要になることもあります。
■ブラケットが外れないようにするための注意点
◎食べ物の選び方に気をつける
硬いものや粘着性のあるものはできるだけ避け、矯正中は小さめに切ったり柔らかく調理したりする工夫をしましょう。また、食後は丁寧なブラッシングを行い、装置の周囲に汚れを残さないことも大切です。
◎定期的なチェックを受ける
ブラケットの状態は見た目だけでは判断しにくいため、定期的な通院で緩みや破損がないか確認してもらうことが重要です。
万が一違和感を覚えた場合は、早めに歯科医院へ相談してください。
【ブラケット矯正中のトラブル、まずは歯科医院に連絡を】
矯正中にブラケットが取れた、外れたといったトラブルは珍しいことではありません。
しかし、放置すると歯の動きに影響を及ぼし、治療期間が延びてしまうこともあります。
無理に自分で直そうとせず、ワックスなどで応急処置をしてから、できるだけ早く歯科医院に連絡しましょう。