美しさの基準として「Eライン」という概念があります。
Eラインは、横顔のバランスを測るための指標で、歯科領域では特に整った口元を評価する際に使われます。
この記事では、Eラインとは何か、また矯正治療でこのラインに近づけることができるかについて詳しく解説します。
目次
■Eラインとは?
◎Eラインの定義
Eラインとはエステティックラインの略で、横顔の美しさを測るための基準となる線のことを指します。
鼻の先端からあごの先端までを真っすぐに結んだラインがEラインで、このラインに対して唇がどの位置にあるかで、美しい横顔かどうかを判断するものです。
理想的な位置としては、上唇がEラインに軽く触れるか少し後ろ、下唇が少し後ろに位置するのが良いとされます。
しかしこれは鼻の高い欧米人の基準なので、日本人の場合はもう少しラインが後退していても問題ないとされることが多いです。
◎矯正治療におけるEラインの役割
矯正治療では単に歯の横の並びを整えるだけでなく、唇の位置をEラインの基準に近づける治療を行うこともあります。
引っ込みすぎたり出すぎたりすることない自然な位置に口元に導くことで、横顔全体のバランスを整えます。
Eラインを考慮した矯正治療を行うことで、審美面、機能面どちらにおいても良いとされる歯並びを目指すことができます。
■インビザラインでEラインに近づけることができる?
◎Eライン改善に有効な症例
インビザラインは前歯の傾きや軽度の歯列不正に対しては効果が高いですが、全ての症例においてEラインを整えられるわけではありません。
例えばあごの骨格そのものが原因で口元が突出している場合、インビザラインのみでは理想的なEラインに近づけることが難しいです。
■Eラインに近づけるための他のアプローチ
◎外科的矯正と矯正治療の併用
理想的なEラインに近づけるためには、場合によって外科矯正が必要になることもあります。
あごの骨に問題があるケースでは、インビザラインだけでは限界があるため、外科的処置と矯正治療を併用することがあります。
外科的処置には、骨切り術などのあごの形状を調整する手術が含まれ、場合によっては美容外科との連携が必要な場合もあるでしょう。
手術後にインビザライン矯正を行い歯の位置を整えるケースもあります。
◎多数歯の抜歯が必要なケース
歯の並ぶスペースを確保するために、多数歯の抜歯が必要なケースもあります。
前歯が突出している、あごが小さいなどの理由で歯が横に並びきれない場合には、抜歯をして十分なスペースを作り、前歯を後方へ移動させることで、理想的なEラインへと整えていく必要があります。
この際、抜歯によって確保したスペースに歯を移動しますが、インビザラインは複数の歯を抜歯した後のスペースに歯を動かすことが比較的苦手です。
力のかかり方によって歯が傾いてしまうケースがあるためです。
多数歯の抜歯を必要とする場合には、ブラケット矯正が選ばれることが多いです。
【インビザラインとEライン、ケースによって選択】
Eラインは美しい横顔の基準とされる指標で、矯正治療でもこのEラインに近づけることを目標とする場合も多いです。
インビザラインは、軽度の症例でEラインを整えることはできますが、すべてのケースに適応されるわけではありません。
あごの骨格の問題がある症例では、外科的治療が必要になることもあります。
また、歯の問題のみであっても多数歯の抜歯を必要とするような重度の症例には向いていません。
Eラインに問題があると感じた時は、インビザラインだけで無理に治療を行おうとするのではなく、それぞれの重症度に合った治療を選ぶことが大切です。