歯列矯正は特定の条件を満たさないと、全額が患者様負担となる治療です。
これらの診療は自由診療と呼ばれます。
対して、保険者が一部の医療費を負担してくれる診療のことを保険診療といいます。
保険診療はその方によって1割~3割程度の負担となります。
全額負担の自由診療は負担が大きいようにも感じますが、診療内容によっては医療費控除という控除を受けられるケースもあります。
医療費控除とはどのようなものなのでしょうか。
矯正治療が医療費控除の対象となるかどうかについても合わせて解説します。
目次
■医療費控除を受けられる条件とは
◎1年間の医療費が所得の5%以上かかっている
医療費控除を受ける条件の1つは「1年間医療費が、1年間の総所得金額の5%を越えた」です。
医療費控除には、1年間の所得に応じた基準が設けられています。
治療費が1年間の総所得金額の5%を越えれば、医療費控除の対象となります。
◎1年間の医療費が10万円以上
医療費控除を受ける条件のもう1つは「年間の医療費が10万円以上」であるということです。
1年間にかかった医療費が総所得金額の5%を越えていなくても、10万円を越えれば医療費控除の対象となります。
医療費控除を受けるには、上記の2つの条件のうち1つを満たしている必要があります。
■医療費控除の計算式と税率
◎計算式
医療費控除には基本的な計算式があります。
・計算式
その年(1年間)にかかった医療費金額 - 保険金で補填される金額 - 10万円、または総所得金額の5%の少ない方 = 医療費控除額(最大で200万円)
まず、1年間に支払った医療費より、保険などでまかなわれる分の金額を引きます。
さらにその金額から10万円か、総所得金額の5%の、どちらか少ない方の金額を引きます。
この残りの額が医療控除の対象となります。
この対象額に所得に応じた税率をかけます。
◎所得に応じた税率
上記の計算式で医療控除の対象額を計算したら、それに所得に応じた税率をかけます。
所得に応じた税率は以下の通りです。
所得合計額 (課税される所得額) |
所得税率 |
控除額 (所得から差し引かれる控除額) |
195万円未満 |
5% |
0円 |
195万円超330万円未満 |
10% |
97,500円 |
330万円超695万円未満 |
20% |
427,500円 |
695万円超900万円未満 |
23% |
636,000円 |
900万円超1,800万円未満 |
33% |
1,536,000円 |
1,800万円超4,000万円未満 |
40% |
2,796,000円 |
4,000万円超 |
45% |
4,796,000円 |
■矯正治療は医療費控除の対象になる?
◎歯列矯正が医療費控除の対象となりケースもある
歯列矯正は、医療費控除の対象となるケースとならないケースがあります。
国税庁のホームページには、「歯列矯正を受ける人の年齢や矯正の目的などからみて歯列矯正が必要と認められる場合の費用は、医療費控除の対象になります。」とあります。
(参考url:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1128.htm)
子どもの成長を阻害するような歯列不正の治療はもちろんですが、大人でも噛み合わせによって食事に問題が生じていると歯科医師が判断したようなケースでは、医療費控除の対象となることもあります。
ただ、患者様の口腔内の状態は一人ひとり違います。
控除を受けられるかどうかも「この歯列不正があるから控除を受けられる」というわけではなく、あくまで個々のケースでの判断となることを認識しておきましょう。
【矯正治療で医療費控除を受けられるケースも】
医療費控除にはさまざまな条件があり、それらを満たせば控除を受けられます。
また、矯正治療においても医療的見地から必要だと認められた場合は控除の対象となることもあります。
矯正治療で医療費控除を受けられるかどうかは個人の口腔内の状態によって変わるため、歯科医師とよく相談することが大切です。